2010/10/05の記録です。
当研究室の境先生が毎年行っている「たたら製鉄」教材の実践で、昔とおなじように「ふいご」で炉を吹くことはできないか、できれば小学生が上に乗って踏む「足踏みふいご」を作れないか、とかねてより打診されていました。これができると、製鉄に必要だった労働を実感できる教材になる可能性があります。
たまたま最近、広重は個人的に、小さな手作りオルガンの制作を進めておりました。それに使う「ふいご」の作り方を、たたら用ふいごにも応用できそうだ、と思い立ちました。
たたら製鉄で実際に使われた本物の足踏みふいごの資料も見せていただきました。本物は、踏み板ぴったりに土で周りの構造を作るらしいのですが、これだと作るのも大変だし、持ち運びできません。また、気密性を確保するのもかなり難しそうです。
そこで、位置関係だけ本物に似せて、ふいご自体はあらかじめ作ってある「袋ふいご」もしくは「蛇腹ふいご」にすることを考えました。作り方は前述のオルガン用ふいごを参考にします。これなら分解して持ち運べますし、気密性は事前に確保しておけます。
オルガン用ふいごは、革で作られるものが多いようです。たたら製鉄用ふいごはサイズが大きくなる予定なので、革も大きなものが必要です。そんなに大きな革はそもそもないですし、貼りあわせるとしてもたいへん高価です。そこで、革にかわる、安価で大面積を確保できる材料を探さねばなりません。
目をつけたのは、ホームセンターで巻物を切り売りしている「テーブルクロス」です。透明なビニールクロスの比較的丈夫でかつある程度やわらかいもの、ということで、0.5mm 厚の透明テーブルクロスを選びました。材質は多分ビニールですが確かなところは不明。
さて、未知の材料でいきなり大きなサイズのものを作るのはあまりにも無謀ですから、小さいサイズでまず試作をしてみます。試作を重ねて確実に進む、というのは、ものづくりの定石なのですが、ウチの学生たちにはそういう意識がないようですな… (一回作るだけで済ませよう、というのはアマいよ)。まあ、それは長くなるのでさておき。
まずは、小さなオルガン用の片手ふいごのサイズで、ほぼ同じ作り方で革のかわりにビニールクロスで作ってみます。
その他、弁は別モジュールにして、外付けにします。これは (1) 壊れるかもしれないのでメンテナンスしやすいように (2) 一部透明アクリル板などを使って、弁の動きを見られるようにし、弁の働きも実感できるようにする。また、方向を間違えると動作しないことなどもデモンストレーションできる (3) 連結は、市販の塩ビ管の接続パーツを活用し、気密性を簡単に確保する (4) 性能不足、不具合などの場合は簡単に取り替えられる。またいろいろなアイディアを試すことができる、などのことをたくらんでのことです。外付けにすると場所をとり、制作も組立も複雑になりますが、前述のメリットは捨てがたい、との判断です。
今日は、講義などの合間に、早速テーブルクロスを使って試作を開始しました。
蛇腹の形を保持する三角形の薄板を写真のように並べ、テーブルクロスに貼り付けていきます。